クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「聖はあなたに、“素”を見せる事が出来なかった」
「………え…?」
要くんの、強い眼差し。
掠れた声が出て、反らそうとした目は要くんの瞳によって現実を見つめる。
……聖が、私に素を見せる事が出来なかった。
つまり、本当の自分……“山田聖”という人間を、私には出せなかったということ?
私に今まで接していたのは、本当の聖じゃないの……?
「別に、先輩を否定している訳じゃありません。好きだからこそカッコつけたかったんだろうし、聖自身、素を見せる見せないは気にしてなかったと思うので」
要くんの、これはフォローなのかな?
分からないけど、フォローになってない。だって、そんなの……
「…そんな聖が、唯一柚希ちゃんにだけは素を見せた」
「……っ」
……そういう、ことよね?
柚希ちゃんには、毒も吐いたり冷たくあしらったりしてる。
けれど私はその真逆。先輩だからではなくて、単純に距離があったのかもしれない。
目には見えない、心の距離が。