クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


深く、静かに深呼吸する山田くん。


そして真っ直ぐと、変わらぬ笑顔で伊吹先輩を見つめた。



「俺の事好きになってくれて、ありがとうございました」


「……ッ」



瞬間、伊吹先輩の瞳から、また大粒の涙が溢れ出した。



……あたしも今初めて、本当の伊吹先輩が見えた気がする……。



脆くて、儚くて、健気で。

あたしと同じ、恋に必死な一人の女の子……。



「じゃあ…それだけです。失礼します」



最後にもう一度頭を下げ、山田くんは体育館へ向かって歩き出した。


その後を追おうと、伊吹先輩と要くんにお辞儀して、一歩踏み出そうとした時だった。




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