クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
声を掛けられ視線を移すと、隣を歩いていた山田くんがあたしの手元を指差していた。
そこにはパンパンに膨らんだ旅行バック。
楽しみすぎて、色々詰め込みすぎちゃったんだよね。
「あぁ、これ?なんか今日の準備してたら、楽しみすぎてあれもこれもってなっちゃって。気付いたらこんな大きさになってたんだぁ~」
あはは、と空笑いをしながら話すと、突然山田くんが吹き出した。
「あははっ!やっぱそういうとこあんただね」
「えっ?…えぇっ??」
「何を入れたらそんなに膨らむの」
あ、山田くんの笑顔。カワイー……じゃなくて!
あ、あたしってどんなキャラ?
「ほら貸して。あんたじゃ潰れそう」
「…へっ?あ、うんっ。あ、ありがとう…」
右手を差し出した山田くんに、ハッとして荷物を渡した。
一瞬だけ触れた手から、ビリビリッと電気が走る。
…ビックリした。山田くんが、自分からこんなこと言うとは思わなくて。
何だか笑顔も優しかったし、いつもの毒舌も無いし…。
………もしかして、これも水着マジック?
なのかな?