クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
ほとんど溶けて砂に埋もれそうなロウソクの火で、二人の花火に火を着けた。
少しして、パチパチッと軽やかな音と小さな火の玉が飛ぶ。
向こうでもみんながそれぞれの色の花火をしているけど、この暖かい光だって負けてない。
「キレイだね!」
「…そうだね」
小さな小さな灯りだけど、ちゃんと微笑んだ山田くんを照らし出してくれる。
「あっ、そうだ!どっちが長くもつか勝負しようよ!」
線香花火と言えば、これでしょ!
キラキラとした瞳を向けるあたしに、山田くんは眉を下げて笑った。
「…言うと思った」
「あはっ。わかっちゃいました?」
「…あんたらしい」
『いいよ、やろう』と言って、山田くんはまた笑った。
よーしっ!そうと決まれば負けられません!
あたしは右手で花火を持ち、左手でその手首を支えた。
ちょっとでも振動したら、線香花火の火の玉が落ちちゃうしね!
ジーッと穴が空きそうなくらいに、火の玉を見つめていると、
「…柚希」
優しい声と一緒に、ふわっと山田くんの香りがした。
―――――ポトッ…。
持っていた線香花火の、火の玉が砂の上へ落ちる消えそうな音。
驚いて目を見開くあたしは、ぱちくりと遅い瞬きをした。
「…目くらい閉じてよ」
真ん前にあった山田くんの顔が離れ、目が合うと悪戯な笑みを浮かべた。
……今、き、きききき……。