クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


山田くんを恨めしい目で見ていると、ポトッと花火の火が落ちた。


……あ、何かごめんなさい。




「あーっ終わっちゃったね~」


「花火も終わりかぁ~」



六花ちゃんと伊吹先輩が心底残念そうにそう言うと、山田くんは小さく微笑んだ。



「よしっ。じゃあ片付けて帰ろうか!」



伊吹先輩に促され、みんなでゴミを拾ったりロウソクを仕舞ったりと片付けをした。


今日は伊吹先輩の別荘に泊まって、明日の午前中に帰ることになっている。


急に寂しくなったのは、きっとあたしだけじゃないはず。



帰り道、それぞれ並んで家路を歩いた。


もう街灯以外に明かりはないが、それでもみんなの心は弾んでいた。




「…山田くん」


「ん?」



色々あった今日、すごく山田くんとの距離が縮まった気がする。


チラッと横目で見上げると、隣を歩く山田くんは前を向いたまま返事をした。



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