クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
【美喜&翼】
「あーっ。遊んだ、遊んだ!」
「美喜、こらお腹出さない!」
「えーっ?腕伸ばしたから服が上がっただけでしょー?ほんと、翼はお父さんみたいなんだから」
『そんな小言ばっかり言ってたら本当に老けちゃうよ~?』と美喜は言い、ムスッとする翼にケラケラ笑った。
この二人はこれが普通。美喜がワガママなお嬢様なら、翼はお人好しの使用人だ。
サラサラの美喜のブラウンの髪を、夜風が揺らしてなびかせる。
「…ん?何?」
「いや、相変わらず細いなって思って」
「あはは何それ。別に普通だよ、普通!」
「でももうちょっと太れ!肌も、そんなに露出しなくていいから!」
「え~っ?」
翼は自分の来ていたポロシャツを脱ぎ、キャミにジーンズスカートの美喜の肩にかけた。
そんなに心配しなくても大丈夫なのにな~と心の中で呟きつつも、風邪を引かないように気を遣ってくれている翼に、美喜は大人しくポロシャツに袖を通した。
ふわりと香った翼の香りに、安心してしまう所は立派な女の子だ。
「……ありがと」
只でさえ小さかった声は、語尾にいくにつれ聞き取れないほどの大きさ。
これでも美喜はいっぱいいっぱいで、顔を真っ赤にしながら呟く美喜に翼は吹き出した。
「ぶはっ!やっぱ、カワイイよそういうとこ」
「なっ…ば、ばーか!」
時に立場が逆転する、それもこのカップルの特徴だったりする。