クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
来校者用の駐車スペースには、何台か車が止まっている。
練習試合って言っていたから、相手校の車だろう。
実際、弓道着を着た見慣れない男の子たちと何度かすれ違った。
弓道場前の渡り廊下を歩いていると、前方から、女の子の3人グループが歩いて来た。
そして、あたしの横を通り過ぎる瞬間、聞こえた会話に目の前が真っ白になった。
「…ねぇ、ほら今のだよ」
「え?あの人がそうなの?」
「香里奈に彼氏奪われた人でしょ?よくのうのうと来れるよねー」
「まだ未練タラタラなんじゃない?」
「うわーっ怖っ。でも香里奈もスゴいよね。人の彼氏落とすなんて」
「ほんとだよねー」
アハハハッて、甲高い笑い声が響いた。
その声が遠ざかってゆく中、あたしはその場で立ち止まり、呆然と上靴の爪先を見つめていた。
……どういう、こと……?
頭に浮かんだのは、それだけで。
状況が理解出来なくて、混乱して。
信じたくなくて、目を閉じた。
――――と、その時。