クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


――――弓道は、人の心が矢として表れる競技だ。



昨日の、松川くんの言葉を思い出した。

本の少しの気の迷いが、的を避けるように弓を曲がらせる。



「…嫌味ですね」


「……え?」



隣でボソッと、香里奈ちゃんが呟いて。

小さく笑みを零しながら、溜め息を吐く。



「山田先輩、柚希さんが来るまで調子悪かったのに。今はもう、さっきまでの気の迷いが微塵も感じられない」



もはや別人です。

そう呟き、自嘲のように笑い出した。



「日曜日、わたし山田先輩に告白したんです」


「えっ……」



突然の報告に、あたしは思わず香里奈ちゃんを見る。



「柚希さんなんてやめてわたしにしませんか?わたしの方が合ってますって。

そしたら山田先輩、“他人がどうこうじゃなくて、俺があの人じゃないとダメなんだ”って言ってくれちゃって。見事、玉砕です」



フフッと笑った香里奈ちゃんに、あたしは体中の体温が上がるのを感じた。


…山田くんが、そんな風に思ってくれてたなんて……。



「山田先輩の携帯取り上げて、服を極限まで脱いで誘惑した後にですよ?もう信じられませんよ」


「えっ…誘惑なんてしたの!?」


「はい。押し倒してみました。ベッドに」


「……っっ!!?」



し、ししし信じられない!それこそ信じられないよ!

押し倒すだなんて…っ!


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