クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「香里奈ちゃんってそういう…っ!?」
「ちょっと、変な誤解しないでもらえます?」
大袈裟に驚くあたしを、香里奈ちゃんがズバッと一刀両断。
だだだだって、男の子だよ?男の子を押し倒すってどんなことですか!!
「ま、それでも動揺一つしないで、真っ直ぐに見つめ返してくるんですから。逆にこっちが恥ずかしくなりましたよ」
ケラケラと、声を上げて笑って。
「…とことん、女として見てもらえてないんだなって感じました」
そう悲しげに、微笑んで。
香里奈ちゃんの瞳にうっすらと涙が滲んでいることに気付き、あたしは慌ててハンカチを差し出した。
少し目を大きくして、あたしを見る香里奈ちゃん。
「使って!」
「はい?」
「泣かないでください!」
「……あなた、わたしライバルですよ?」
「そんなの関係ないよ。香里奈ちゃんだって同じ女の子じゃない」
大きな目をさらに大きくして、香里奈ちゃんが驚く。
恋をするのに、ライバルなんて関係無い。
例えやり方が間違っていても、相手は相手なりに一生懸命なんだ。
誰かの想いが叶えば、その分傷付いている人がいる。
恋って仕方のないことに、立ち位置なんて関係無い。
「…フッ。やっぱりお人好しですね柚希さんは」
「…そんなんじゃないよ」
「…いえ、負けました。あなた達お人好しコンビには、どうやら勝てないみたいです」