クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


「…あっごめん!えっと…ば、ばいばい」



咄嗟に握った俺の服の裾を、パッと離して笑顔を作る。


こんなにわかりやすいのは、恐らくこの人ぐらいだろう。



「…いや、やっぱ止めるよ」


「…へ?」



驚いた表情の柚希をスルーして、俺はベッドの横の床に座った。


ポカンとしてる顔が、間抜けでつい笑みが零れる。



「…いて欲しいんでしょ?」


「……っ!」



ニヤリと悪戯に笑った俺に、カァッと音が聞こえるくらいの勢いで頬を染めた。


…なんか、今日の俺変だな。

無性に、この人をイジりたくなる。



「…ごめん」


「へっ?」


「…俺、今日ちょっとSかも」


「……はぃいいいいっっ!!?」



ぶはっ。やっぱ、そうなるよね。

真ん丸な目をさらに大きくして、口をあんぐりと開けている。


その表情を保ったまま、顔を赤くするから器用なもんだ。



「…きょ、今日の山田くん変」


「うん、俺も感じてる」



肩を震わせて笑いを我慢する俺に、柚希は予想外な答えを出してくるんだ。



「…笑顔が可愛いので写メっていいですか」


「全力で拒否します」


「ガーンッ!」



だから、ガーンッて口で言わないでよ(笑)。


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