クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


『わたし、松川くんが好きです』



告白の時、六花ちゃんはそう言った。

普通に聞いたらありがちな言葉だけど、それに全てが詰まっている気がした。


あの時俺は、『…ごめん』それだけで済ませてしまった。


六花ちゃんの悲しげな笑顔を見てみぬフリして、目を伏せたんだ。


その時の後悔があるから気になるんじゃないか?そう聞かれれば、そうなのかもしれない。


でも、なら、教えて欲しい。


立本が山田と歩いているのを見るより、六花ちゃんが男と話しているのを見る方が辛いのは何でだよ?




「…あれ、松川くん?」


「……っ!」



虚ろな意識の中、届いた声に弾かれたように顔を上げた。


そこには探していた、六花ちゃんの姿。



「珍しいね、図書室に用事?」


「…え?」



図書室?

言われて六花ちゃんの後ろを見れば、【図書室】の文字が目に入った。


さ、さすが六花ちゃん文学少女…。



「いや、図書室じゃ、ないかな」


「あ、そうなの?」


「う、うん。どちらかと言うと六花ちゃんに用事が…」


「え?わたし?」



小さく呟いた俺に六花ちゃんは自分を指差して驚いている。


なぜか、手に汗を掻き始めた。

もう9月も終わりだって言うのに、そろそろ涼しくなって欲しい。



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