クールな彼が好きすぎて困るんですが!!


「…要くん」



要くんのセーターの裾を、ぎゅっと握って呟いた。

それに気付いた彼が、少しだけ驚いた表情で私を見る。



「はい?」


「…私、要くんが…」


「かーなーめーくんっ♪」



………っ!!

とその時、突然後ろから要くんに飛び付いてきた女の子。


反射的にセーターを掴んでいた手を離すと、要くんが眉をしかめた。


そして溜め息を吐いて振り返り、その小柄な女の子を見た。



「…何?俺に用事?」


「うんっ!はいこれあげるーっ」



そう言ってニッコリ笑顔で彼女が差し出したのは、可愛くラッピングされたクッキー。


近くにいる私にも、甘い香りが漂ってきた。



「調理実習で作ったんだ。要くんにあげるねっ♪」


「ちょー美味そうじゃん!ありがとう、弁当の時に食うわ!」


「うんっ!じゃあね~」


「ばいば~い」



……………。

手を振って去っていった彼女に、手を振り返す要くんはいつもの笑顔。


要くんは女の子に優しい。スゴく、扱いが慣れている。

今の要くんはまさに、いつものテンションで話していた。


私だって男の子の扱いくらいわかる。けっこう、黒いと思うよ。


でも、本当に好きな人にはどう接していいかわからないの。

何とも思ってない人なら甘えられる。けど、好きだと逆に冷たくなってしまう。


それくらい、要くんを想っているのに。



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