クールな彼が好きすぎて困るんですが!!

八重歯のウェイター side美喜



私が今の彼氏、翼と出会ったのは、高校生になったんだからと何となく始めたバイト先でのことだった。




「今日から働いてもらう熊谷美喜さん。まだ分からないことが多いと思うから、みんな教えてあげてね」



女店長さんに紹介されペコリと頭を下げると、店員さんたちの拍手に包まれた。


ここは学校から近い駅前のカフェ。

若者向けのスタイルだが、様々な年代の方に親しまれている。


私は中ではなく外。つまり、オーダーを取ったり注文の品を運んだりする役割だ。


まだメニューがうろ覚えなため、今日はレジ打ちに回る。



「誰かにレジの打ち方教えてもらわないとね。えっとー…どうしようかしら」



困った顔の店長さんは、込み合う店内を見渡し腕を組んだ。


どう見ても、みんなそれぞれの仕事で手一杯だ。

ヒマそうな人なんて……。



「すみません店長!遅刻しました!」



とその時、裏口に続く従業員用のドアから勢い良く登場した一人の男の子。


急いで走ったのか、濃いブラウンの髪が無造作に跳ねている。


彼は肩で息をしながら、こちらに向かって来た。


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