クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「ここはレシートが無いから、代わりにオーダーの時使ったメモを使う」
「はい」
「それを見ながら会計して、終わり。値段が分からない時はこれ見てね」
そう言って彼が指差したのは、レジ台にぶら下がった一枚の紙。
全メニューの略称と、値段が表になって書いてあった。
スゴく便利な物も、お客さんから見えない位置にあるのがまぁ面白い。
「それで会計が終わったら、笑顔でありがとうございましたー!って元気良くね。それと、店内にいる時はいつでも笑顔でいること」
「はい。ありがとうございます」
「…じゃあ、ちょっと練習してみようか」
え?
ニカッと笑った彼はそう言うとレジを出て、レジの前方に回った。
店員の格好した人がレジに会計に来るなんて、不思議な光景だ。
「すみません、お会計お願いします」
「…へ?」
「ほらほら、笑顔」
あっ、そっか。
ハッとして笑い、テーブル番号とオーダーの書かれたメモを探す。
「テーブル番号をお願いします」
「3番です」
「かしこまりました」
3番、3番…っと。
探していると、練習用【3】と書かれたメモが見付かった。
なるほど、これでみんな練習するのか。
そこに書かれたオーダーと、ぶら下がったメニュー表を見ながらレジを打っていく。
その間も彼の視線を感じて、少し緊張した。
「1350円になります」
「はい」
お金を渡すフリ、かと思いきや、渡されたお金は子供銀行。
ぶはっと思わず吹き出しそうになるのを必死で堪える。