クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「案外抜けてんだね美喜ちゃんて」
笑いながら手を離し、私におぼんを渡す。
「すっすみません!」
「いいよいいよ。それより、早く届けてあげて」
「はっ…はい」
やっぱり、同い年なんて信じられない。
こんなに冷静で、落ち着いてて、周りに気を配れる人が、私と同じ15歳?
「…ていうか、お礼言いそびれたし…」
ガックリと肩を落としながら、レジ横の定位置でお客さんの手が上がるのを待つ。
ふと時計を見れば、夜の9時を少し過ぎたくらいだった。
あ……三橋さんの上がりの時間だ。
なんてことを考えながらボーッと立っていると、お店のガラスの向こうから、制服に着替えた三橋さんが手を振っているのが見えた。
一瞬、誰に振ってるかわかんなくて。
周りをキョロキョロ見渡すと笑われたから、恐らく私。
おずおずと手を胸元くらいまで挙げ、小さく振り返す。
……何かこんなの、カップルみたいで照れるんだけど……。
三橋さんはニカッと八重歯を見せて笑い、口パクで『がんばれ』と伝えると、もう一度手を振り帰って行く。
その後ろ姿に何だか無性に寂しさを覚えて、私は仕事を放り出すと外へと飛び出した。
「…三橋さん!」