クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「……山田くん」
「…ものすごく嫌な予感するけど何」
「……良い子すぎて泣きそうです」
というか実際、目が洪水状態なんですが。
山田くんに手紙を見せると、片手であたしの涙を拭いながら、もう片方の手で器用に手紙を持ち読んでいる。
少し経つと、山田くんが手紙を返してきた。
「…どうも」
「どうしよう…あたし最低だぁ~っ!」
さっき全然気付かなくて、がっつり満面の笑みをしてしまったよ!
何てやなヤツ!あたし何てやなヤツなんだ!
うう…ごめんよ小野田くん…。
「…あんた、校舎迷ったんだ」
「…それ読んで思い出しました…」
「…忘れたい記憶だったんだね」
冷静にツッコミを入れてくださる山田さま。
だって確かあの時、あたしと小野田くん怒られたもん。
“入学式遅刻だぞっ!”って。
そりゃ、先輩のくせして迷いましたよ。
もう1年通ってるくせに迷いましたよ。
でもいくらなんでも小野田くんまで怒らなくても!!
「…という訳です」
「…うん、どういう訳かな」
「あぁ~…っ」
「…気になるなら行ってくれば」
「え?でもそうしたら山田くんが妬き…」
「………」
「すいませんでしたっっ!!」
山田殿の睨みを頂戴し、柚希忍者は光の速さで行って参ります!
「必ず生きて帰って来るからな!」
「…いや、誰だよ」