クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「…えっと…じゃあ甘えちゃおうかな」
伊吹先輩って、あたしの山田くんに対しての気持ち知ってるよね?
知ってて、あたしの目の前で山田くんに笑い掛けるの?頬染めるの?
ニッコリ笑う伊吹先輩の笑顔が、こんなに腹立たしかったのは初めてだ。
横では美喜ちゃんが、今にも伊吹先輩に殴りかかりそうな勢い。
あたしはこの空間に居たくなくて。
鞄を手に立ち上がると、美喜ちゃんの腕を引っ張り歩き出した。
「あっ…柚希ちゃん!?」
「あたしも帰ります。松川くんが送ってくれるので安心です♪」
それだけ言い、呆然と立ち尽くす山田くんの横を通り過ぎた。
作り笑顔なんて、人に向かって初めて向けたよ。
目は見ないよ。
見たらきっと、泣いてしまう。
声は掛けないよ。
掛けたらきっと、酷い事を言ってしまう。
あたしって、勘が良いみたい。
予想的中。おめでとさん。
“山田くんは伊吹先輩が好き。”