Level 36.

「がっくんの好みで主人が作ったけど良かったかしら?」



 が、が、がっくん???
 思わず鬼柴田の顔を見ると、バツが悪そうな顔をしている。



「あなたが篠原さんね? イメージ通りの可愛らしい方。
 はじめまして、女将の博子です。
 主人はがっくんの高校時代の同級生で、私は後輩なの」



 美しい女将さんは微笑み方も話し方も、所作までもが美しくて
 同性ながらも見惚れる程だ。



「だから、いい年してがっくんはやめてくれよ……。
 余計な事も言わなくていいから」

「はいはい。 お邪魔してごめんなさいね。 どうぞごゆっくり」



 女将は意味深な微笑みを残して、すっ―――と障子を閉めた。
 鬼柴田は呆れた様子。


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