Level 36.
 ―――



 悠希が柴田クリニックへ面接に来たのは4年前。
 春先というにはまだ寒い3月の初旬だっただろうか。


 履歴書の学歴、最下段に
 看護大学を卒業見込みと書かれた履歴書を見た柴田は不思議に思った。


 一般的に新卒の看護師は総合病院へ就職し
 病棟で夜勤もしながらOJTで経験を重ねていくものだと思っていたのだ。


 小さな町の開業医は重症でないにしろ様々な症状を訴える患者が多く
 多科目に渡っての知識を必要とされる為
 知識を叩き込んだばかりの新卒では正直なところ使い物にならない。
 経験や人間力、洞察力など色んな要素も必要となってくる。


 柴田はどうしたものかと思いながら
 其れなりの考えがあり応募してきたであろう事を汲み



「貴方は新卒のようですが、病院への就職は考えてないのですか?」



 そう質問した時―――。


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