Level 36.

「―――は、ぃ」



 たった一言、小さい返事が返ってきただけだった。


 ある程度の質問は想定していただろう。
 現にそれまでの質問にも誠実に答えていた。



「一般的に新卒のナースは何年か病院勤務を経験しながら一人前になっていく。
 そんな風に思っていたんだけど、病棟勤務が嫌なんですか?」



 悠希は何かを言おうとして開きかけたのも一瞬
 また唇を硬く結んでいる。
 なぜ理由を述べない?


 何か考えがあるにしても、これでは駄目だな。
 この調子だと他のクリニックを受けても恐らく採用はないだろう……。


 俯いた悠希の様子を観ながら、柴田は暫くの間考えた。


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