Level 36.


「今晩、仕事の後、予定があるか、って聞いてんだけど?」

「いいえっ! ありませんっ!」



 柴田の方へ身体を向けると思ったよりも近い距離に立っていた。


 20センチ以上身長差がある二人。


 悠希も低い方ではないが、こうして並ぶと
 獰猛な獣とそれに睨まれて身動きが取れなくなった小動物のような図だ。



「じゃぁ、終わったら携帯にメールして」



 それだけを言うと、柴田は診察室へ入っていった。



 一人残された悠希は茫然と立ち尽くすしかなくて。



 止まりかけた思考回路をフル回転させても
 怒られるような心当たりは山ほどあってわからなかった。


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