Level 36.

「篠原、そう言えば来月誕生日だよな?」



 一見ぶっきら棒とも思われがちな柴田だが、職員への労いはコマメな方で
 日頃の感謝を込めて、職員の誕生日には気持ちばかりのプレゼントと
 バースデー休暇を1日与えている。



「今年は何が欲しい? それと、確か日曜日だったな……」



 悠希の誕生日は4月で、今年はたまたま日曜日だった。
 代わりに前日か翌日を休んで連休にしていいぞ、と柴田が言おうとした時
 悠希はスマートフォンを取り出して操作し始めた。



「……あっ、本当だ。 日曜日ですね」



 自分の誕生日を本気で忘れていた様子の悠希が
 スマートフォンのカレンダーで確認しているのを見て、柴田が溜息を吐く。



「お前なぁ……。 自分の誕生日を忘れてたのか」

「だって、確かに誕生日ですけど……。 特に何もありませんから」



 ……確か、今年27だったか?
 サッパリとした裏表のない性格に加えて
 整った各パーツは小さな顔に綺麗に配置されている。
 所謂、清楚な美人だというのに、誕生日に何もないって



「……祝ってくれる男の一人もいないのか」



 最後の言葉は柴田の口から零れていた。


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