Level 36.
あんな状態の人間を前に何か聞ける訳でもなく
無言のまま車で悠希をマンションまで送り届けた。
その後も仕事中はいつもと変わらないように働いている。
ただ―――
以前には見る事のなかった、
何とも表現しがたい表情を見せるようになった。
その後、あの雨の日に交際していた彼と別れた、と聞かされたのは
一か月程経ってから。心の整理がついたのだろう。
それももう2年も前の事で、今では目の前にいる悠希はあっけらかんとしている。
「……だったらいいが」
「はい。 なので、休暇は結構です。 土曜日は忙しいですからね」
悠希は時々、頑固なところを見せて譲らないところがある。
本人が言うのだからまあいいか、と休暇については承知した。