Level 36.
「で、プレゼントは?」
不要な物を貰うよりも欲しい物をプレゼントしたがいいと考えている柴田は
いつもリクエストを聞き、他のスタッフは大抵希望を言う中で
悠希だけはいつもリクエストを言わない。
1年目の時は相当悩んだ挙句、女性に人気のあるブランドの
小さなピアスを贈った。
「センセイ、私はプレゼントも……。 本当に」
微笑みながら頭を小さく横に振って遠慮を見せる悠希は、予想通りの反応だ。
「じゃぁ、お任せだな? 気に入らなくても文句言うなよ?」
1年目に贈ったプレゼントを本当に喜んでくれた気がした柴田は
それから毎年同じブランドのピアスをプレゼントし、
毎年それを喜び、いつしかプレゼントしたピアスだけを交替で着けている悠希。
そんな、何気ない小さな気遣いの出来る悠希に
今年はどんなピアスを贈ろうかと考えて、柴田の口元は自然と緩んでいた。