Alice-浮気女の決意-
「またあいつのとこ行くのかよ」
そうじゃない。
あたしはただ、図書室であの本の内容が知りたいだけ。
マスターの言った言葉の意味が、知りたいだけなのに。
ナオの瞳とだんだん大きくなってくる頭痛が、伝えることを邪魔する。
「あのね、ナオ。ちが「何が違うんだよ!!」」
「……っ」
「そんなにあいつがいいのなら、もう別れようぜ」
違う。あたしが図書室に行くのは、先輩に会うためじゃない。
そう言いたいのに声にならない。
別れ話をしたいんじゃないのに……。
「おいっ!!アリサ!!」
ナオの声を最後に、あたしの意識は途切れた。