K・C
 ズシャの原因は私だった。


 流血。



 左手の一差し指から流れる一筋の鮮血・・・赤くなった石膏の棒・・・血に染まったナイフ。


 まるで殺人現場のような光景を、ドラマでも見ているかのように思いながら記憶が途絶えた。



 気絶。


 血を見てってわけじゃない。私はもともと採血とか血を見るたぐいの物には特に抵抗はない。ただ、ドラマのようなその光景が自分に起こったことだと理解した瞬間、驚きのあまり体がふわっと浮いた気がしただけ。



 「トモ?トモ??気が付いた?」
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