夏に、恋をした。


雪乃は俺のブレザーをぎゅっと掴む。



「啓と、キス、した…」



頭が真っ白になった。


怒りとか、嫉妬とか、憎しみとか、負の感情がごちゃ混ぜになり渦巻く。



「…ごめん」



何も言わない俺が怒ってるのと思ったのか、雪乃が身体を離す。

初めて見えた目元が赤くなっている。


それ以前に涙が浮かんでいる。



「…されたのか?」



そう聞くと、コクンと頷いた。


< 236 / 258 >

この作品をシェア

pagetop