夏に、恋をした。


「…どうです?」


桜田が試すように言うと先輩は諦めたように笑った。



「…雪乃」


先輩があたしを呼んだ。

顔を上げると、




「あんな言い方してごめんな」




あたしが固まっているうちに先輩はどこかに歩いて行った。

それを見届け、桜田は深く息をはいた。



――――若干顔が赤いのは気のせい…?



ていうか、先輩があんなこと言うなんて。


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