夏に、恋をした。


桜田が視線をさ迷わす。



――――…期待をするな



「…俺の、って言ったけど、」


下唇を強く噛む。

あまり、その先は聞きたくない。


予想がつきすぎて。


顔が上がらない。


「…杉宮、顔上げてほしいな…?」

桜田が困りぎみに言った。

だから、顔を上げる。


赤い顔を隠すように口元に手を起きながら、桜田は言った。


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