桜並木の下で 上 ~四月から九月~
「あ、ありがと…」
まさか、始業式の日に、私が大っ嫌いって認識した奴に、ストラップを拾われるとは。
最悪だー。
私は、差し出されたストラップを受け取った。
「奈美、俺に惚れんなよ。恋愛なんて、ダルいから」
はぁ?
「誰が、アンタなんかに…!絶対に、惚れないんだから!」
気のせいかな…。
一瞬、翼の顔が、歪んで見えた。
…うん、多分、気のせいだろう。
第一、ああいうチャラい奴ってのは、冗談をこよなく愛してるんだし。