桜並木の下で  上 ~四月から九月~



 そのとき、保健室の引き戸が開く音がした。


 ひょえぇ~!なんかヤダ。


「先生は、今いませ…「そりゃ、ラッキー」


 つ、翼!?



 その、低い声は、間違いなく翼。


「何で、アンタが…」


 ベッドを囲んでいるカーテンが、開いた。


「悪いかよ」


 私は、ベッドの上に、慌てて座った。


「入って来んなぁ!!」


 翼は、私のベッドわきまで来ると、私の手を掴んできた。


「何だよ、意地悪だなぁ」


 顔が、少し熱くなる。




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