桜並木の下で  上 ~四月から九月~




「何、顔赤くしてんだよ」


 翼がにやけながら。


「してないっ」

「いや、してるって」



 ヤダ、私…本当に惚れてるの?


 こんな奴に?


「最初はよ、かわいげねぇ奴とか思ってたけど。案外、かわいいところあるんじゃん。朝練中に倒れるなんて」



 何よ…。


 つか、何なのコイツ!



「ウザい!!」

「あ、そ。ウザくても結構だ」

「っていうか、恋愛には無関心なんでしょ?」


 翼の顔が、一瞬困惑する。


「お、おう。無関心だぜ」

「じゃあ、手を掴むなっっ!」

「掴んでるんじゃない、握ってんの。あ、違いわかる?」




< 25 / 93 >

この作品をシェア

pagetop