桜並木の下で 上 ~四月から九月~
「何、顔赤くしてんだよ」
翼がにやけながら。
「してないっ」
「いや、してるって」
ヤダ、私…本当に惚れてるの?
こんな奴に?
「最初はよ、かわいげねぇ奴とか思ってたけど。案外、かわいいところあるんじゃん。朝練中に倒れるなんて」
何よ…。
つか、何なのコイツ!
「ウザい!!」
「あ、そ。ウザくても結構だ」
「っていうか、恋愛には無関心なんでしょ?」
翼の顔が、一瞬困惑する。
「お、おう。無関心だぜ」
「じゃあ、手を掴むなっっ!」
「掴んでるんじゃない、握ってんの。あ、違いわかる?」