桜並木の下で 上 ~四月から九月~
こいつぅ…本当にぶん殴る!
「…離しゃいいんだろ?」
翼が、ふくれっ面をした。
「おい、入江。早く戻ってこいよ?待ってるから」
顔が赤くなる。
「バッ、待たなくていいんだから!」
「素直じゃねェ奴」
翼は、そう言って、私の鼻を突くと保健室を出て行った。
ホンット、最悪なんだから!!!
私は、布団に潜った。
目を閉じても、アイツの顔が浮かぶ。
これが、噂に聞く恋煩い?
私、恋なんて初めてだから、いまいち、そういうのわからない。
でも、アイツが私の初恋の人だっていうのは、よくわかった。