桜並木の下で  上 ~四月から九月~



「なぁ、奈美。おまえ、俺にはすごく冷たいよな。なのに、ボスには優しくね?オマエ、もしかして、ボスのこと…」


 何でコイツがそんなこと言うんだろ。


「好きなわけ、ないじゃん」

「だよな、よかった」


 は?


 何で、ホッとしてんの?

 関係ないのに…。


「何がよかったわけ?」


 すると、翼は顔を赤くして。


「だって、オマエがボスと恋人になったらさ、俺とボスが遊べなくなるだろ?」


 その声が、少し裏返っていたのは気のせいかな?


「ご心配なく」



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