桜並木の下で  上 ~四月から九月~



 放課後、体育館裏に行ってみると、予想通り、雷斗がいた。


「良かった、来てくれたんだね」



 予想通り、雷斗がいた。


「何の用だったの?」



 彼は、俯いたまま、無言。


 何なのよ。


 私、苛々して、それを抑えるために溜息を吐いた。




 雷斗は、私よりも背が高い。


 喋るときに、顔をあげなきゃいけなくて、首が痛い。



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