桜並木の下で  上 ~四月から九月~




 彼女は、一人で読書している。




「ね、奈美。あの人、感じ悪くない」



 凛が言った。



 そういうこと、言っていいのかな?




「っていうか、奈美。勉強してないのに、この点数とかすごいじゃん。私なんて、勉強しても、あぁなのに」



 やっぱり、こうなるよね。



「私なんてさ、多分、塾の夏期講習を毎日行かされるんだろうなぁ」



 この学校は全寮制だけど、近くにある東進塾には通っていいんだよ。



 近くっていうか、校門抜けたら目の前。



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