桜並木の下で  上 ~四月から九月~


「早くしないと、始業式、始まっちゃう!」

 私と凛は、寮でもルームメイト。すごい腐れ縁。


「ね、君!落としたよ」


 金髪が、私の肩を叩いた。

「え」

「このタオル、君のでしょ?」

 ピンクの、ハンドタオル。

「ありがと。えーと、名前は…」

「僕、井岡雷斗。文系の一組なんだ」

 すっごい偶然だ。私と凛も文系の一組。

「じゃあ、私たち、同じクラスだね」

 彼は、小さく微笑んだ。

「よろしくね」



 荷物を置き、私と凛は体育館に向かった。

 体育館には既に大半の生徒が集まっている。







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