桜並木の下で 上 ~四月から九月~
八月、夏休み。
寮生活のままの人もいれば、許可証をもらって家に帰る人もいる。
凛は、盆には家族と旅行に行くと言って、家に帰ってしまったけど、私は寮に残った。
別に、家にいても楽しくないし、こっちのが塾に近いから。
いつもは凛と二人で生活してたから、あんまり部屋が広いと感じなかったんだけど、一人になって、初めてこの部屋の広さがわかった。
そのとき、ドアをノックする音がした。
「はい」
ドアを開ける。
「!」