桜並木の下で  上 ~四月から九月~



 そう怒鳴った翼の顔が、ほんのり赤い。



「怒鳴ると、ほかの寮生に聞こえるよ?そしたら、寮の監督先生にばらされるかもね」



 翼が、ギクッとする。



「声小さくするから、ばらすなよ…」



 翼が、しがみついてきた。



「ちょっ…翼!?」



 私、びっくりして。




「離れてよ!」



「…んでだよ…」



 なんでって…好きでもない女の子にくっつくなんて、サイテーだよ。



「最低!」









< 58 / 93 >

この作品をシェア

pagetop