桜並木の下で  上 ~四月から九月~





 ふと、後ろに気配を感じて振り向くと、




 誰もいない。




 怪談話ばっかり奏たちとしてたからかな。



 けど、そのとき。



 すすり泣く声が聞こえた。



 なんで泣いているのか。



 どこで泣いているかわからなかったし、



 本当に聞こえているのかはわからなかったが、



 俺は確信した。



 これは、空耳じゃない。



 そして、泣いているのは。



 奈美。



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