桜並木の下で  上 ~四月から九月~




「で、話ってなんだ?」



 翼が、私の隣に腰かけて。



 今にも、肩がくっつきそうで、ドキドキした。




「昨日、裏門からデート行ってたでしょ?律さんと」



 私は聞いた。本当はね、好きって言いたかった。



 けど、二人が付き合ってることを目撃してしまったから。



 今更言えなくて。



「お前、見てたのか?」

「寮の窓から見えるんだ」


「お前さ、昨日繁華街に来なかった?」



 げ、ばれてる。



「い、行ってない」


「ふーん」


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