桜並木の下で  上 ~四月から九月~



「ん」



 翼は、答えて、そっぽを向いた。



「律さん、かわいそー」



 私、涙をこらえて。



 告白する前から失恋だってことは知ってたけど。


 改めて聞くと、泣ける。



「おい、どうしたんだ?」



 私、涙をこらえられなくて。



 気が付いたら、泣いてた。



「川瀬…先生も、そうだったら、どうしようって…」



 私、嘘をつくのは得意。


「心配性だな、お前」


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