先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
「大丈夫?放心状態だけど」
いつも通りの爽やかな顔で私の顔を覗き込む速水先輩。
放心状態になるに決まってる。
学校でも有名な人気者の速水太一が、私を彼女にして下さると言ったのだから。
「お前、俺のこと好きなんだろ?」
速水先輩は、気付いていらっしゃったのですね。
何も気付かないフリをしていたのですね。
「どうしてそれを……」
「そんなのすぐわかる。幼稚園の時から好きだったんだろ?中学で再会して、俺に近付く為に吹奏楽部に入ったんじゃないの?」
全部当たっていて。
当たりすぎていて、速水先輩はエスパーなのではないかと疑ってしまいます。