先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
内緒の理科室
―内緒の理科室―
彼氏と彼女になって初めての朝。
まだ信じられません。
だって。
みんなの憧れの速水太一が彼氏になるなんて。
夢みたい。
しかも、想像を絶するドSっぷりだし。
しかもしかも、めちゃめちゃ甘い言葉もささやいてくれそうだし。
超大事にしてくれそうじゃない?
「おせーよ」
理科室に着くと、速水先輩が窓際に立っていた。
「みい。俺のこと好き?まだ聞いてなかった」
朝一で、いきなりそんな質問をする速水先輩。
「あ、好きです。てか、幼稚園の時からずっと好きだったんだと思われます」
「だからぁ!敬語禁止だって。俺のこと、太一って呼べ!」
「それは無理です。部活中に呼んでしまうかもしれない」
「あ~、お前バカだからな。じゃあ、卒業するまでは速水先輩で許してやる」
その言葉を聞いて、胸が熱くなった。
“卒業”しても、彼女でいられるんだ。
ちゃんと、私達には未来があるんだ。