先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
「好きって言って欲しい」
いきなり真顔になる速水先輩。
こんなキャラだっけ?
「俺、不安なんだ。女の子ってイマイチ信じられないし」
それもそのはず。
太一兄ちゃんが引っ越ししたのは、ご両親の離婚があったからだ。
近所のおばさんの噂によると、太一兄ちゃんのお母さんが浮気したのが原因だとか。
「毎日、言って。好きだって」
速水先輩がこんなこと言うなんて、やっぱり信じられない。
私のこと、本当に好きでいてくれてるって証拠かな。
「わかった」
好きだから、いくらでも言える。
「速水先輩好き」
「もっと言って」
「速水先輩、大好き」
「もっと」
「速水先輩が好きすぎておかしくなりそう」
「ふふ。合格だな」
満足そうな顔をして、速水先輩は私に近付いた。
「俺は、言わないけどね」
えええええええ~!
まじですか?
それって不公平じゃない??
言って欲しい言って欲しい!!
好きって言って欲しい!!