先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
コンクール
-コンクール―
コンクールまでの日々は、猛練習続きだった。
朝と夕方の内緒の理科室の時間もしばらくはお預けとなった。
早めに来る部員も多くなって、怪しまれそうだったから。
数日間だけのお楽しみだった。
「よし、頑張るぞ」
独りごとを呟いて、部室へ入る。
速水先輩の周りには、朝早いことを良い事に、1年生が群がっていた。
3年の女子の先輩はぎりぎりにしか来ないから、今がチャンスと思っているんだろう。
私の姿を見て、ちょっと焦ったような顔をした1年生。
「気にしなくていいよ~」と先輩面をして笑顔を向ける私。
一瞬目が合った速水先輩は、ニヤっと笑ってくれた。
うふ。
私、彼女だもん。
余裕でございます、これくらい。
とは言え、ちょ~っと、くっつきすぎじゃないですか?
速水先輩も、ちょっと、やりすぎだと思います。
トランペットの持ち方が悪いと言って、持ち上げ方のレッスンをしている。
体くっついてるしぃ!!!
いくら、彼女にしてもらったからと言って、やっぱり気分が悪いです。