先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-





「お前、別れたくないなら、本気で頑張れ。このままじゃ優勝できねーぞ」





優勝しなかったら別れる。



それが、私達のお付き合いの条件なのです。






「絶対優勝します!頑張ります」





私は胸を張ってそう言ったものの、自信はなかった。




自分のミスで演奏が乱れることもあったし、部員の心がひとつになっていない気がした。





「お前だけが頑張っても仕方がない。2年の部員をまとめるのはお前の仕事だから」




「へ?」





アホ面で見上げた私のおでこに、冷たいペットボトルを乗せる。





「信じてるからな、みいのこと」





甘い甘い笑顔と、甘い声で。



溶けちゃいますって、私。








それからというものは、私は猛練習の日々でした。







2年の部員を集めてミーティングを繰り返し、目標を書いた紙を部室に貼ったり、できることは全部やろうと思った。





それは、速水先輩と別れたくないからじゃない。





速水先輩の最後の夏を、最高の形で終わらせてあげたいと思ったから。






去年は3位。おととしは2位。



今年こそ!!と3年の先輩は意気込んでいた。





私達が足を引っ張ることは絶対にしちゃいけないんだ。








< 24 / 47 >

この作品をシェア

pagetop