先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
コンクール前日の夜。
速水先輩が我が家にやって来たのであります。
お母さんは、まさかあの太一兄ちゃんだなんて思ってもいなくて。
「なんだか素敵な男の子が来たわよ」なんて言っていて。
「お久しぶりです。覚えてますか?太一です!!」
爽やかに速水先輩は挨拶をした。
「あら!まあ!あの太一ちゃん?」
私が間に入れないくらいに盛り上がっているお母さんと速水先輩。
お母さんも太一兄ちゃんのことすごく好きだったものね。
将来はあんな人と結婚してね、なんて言っていたっけ。
「美織から、太一ちゃんが学校にいるって聞いていたんだけど、まさかこんなにかっこいいなんて、びっくりよ」
「いえいえ。美織ちゃんこそ、かわいい女の子に成長していてびっくりしましたよ」
な~んて。
デヘヘ。
「部活のことで少し話があるので、30分くらいいいですか?」
とお母さんに許可を取ってくれて、夜7時半のおデートでございます。