先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
「お前に言っておくけど、俺達3年の為に頑張ろうなんて思うなよ!」
先輩には何でもお見通しだった。
「俺達の為じゃなく、自分達の為に頑張って欲しい。それを明日1,2年に伝えてくれ」
「はい。わかりました」
「それと…… ちょっと、握手しない?」
やっと目が合った速水先輩は、いつものようなドSな顔になっていて。
「ほら。手、出せ」
と言って、私の手をぎゅっと。
そして・・・・・・
「これって、握手ですかぁ??」
「黙れ!」
私と速水先輩は手を繋いだ。
そっと、誰にも見つからないくらいくっついて、手を繋いだ。
何年ぶりかな。
幼稚園の頃、手を繋いでいたような気がする。
私が無理やりくっついていただけかもしれないけど、太一兄ちゃんは嫌がらずに手を繋いでくれていたよね。