先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
その日の演奏は、途中で涙が溢れてきちゃうような演奏だった。
最後の演奏だからじゃない。
あまりにも、完璧だった。
本当に、“みんなの心がひとつ”になっていた。
「優勝は・・・・・・」
私は優勝を確信していた。
両手をぐっと握りしめている速水先輩をじっと見つめていた。
先輩が、泣いた。
一筋の涙が頬を伝ったのを見逃さなかった。
速水先輩の部活に賭けた想いが今、実を結んだのだ。
「やったな!!」
速水先輩は、涙を隠して笑顔で振り返った。
部員みんなの顔をひとりずつ見つめて、小さく頷いた。
速水先輩と過ごせて良かった。
速水先輩の後輩になれて良かった。
速水先輩と一緒に演奏することができて本当に良かった。
大好きです。
先輩として、演奏者として、本当に尊敬します。